あそびあい 蛇足編
以前書いた感想編の続きです。
個人的に気になったことをまとめます。
がっつりネタバレします。
結末 ハッピーエンドかバッドエンドか問題
初めて読んだときは、「ああ、結局小谷は変わらないんだな・・・」ともやもやして、山下と一緒になる未来が想像できなかったんですけど、何回か読んでたらちょっとずつ感覚が変わってきました。
小谷、ちょっと変わったじゃん。
小谷は、卒業式の前日、みおと部屋の片づけをします。そのとき、自分のお皿をいったん空っぽにして、”自分がすきなものでいっぱいにしよう”と決めます。
これが、山下のおかげなのか、というのはちょっと微妙なところですけど。
段ボールの底から、山下からの手紙が出てきたとき、小谷は、あの山下のうちで「セックスをしないで抱きあった」ことを思い出します。
そして一度捨てます。
ものを捨てるって、過去の清算ですよね、いったんなかったことにする。
山下のこともいったんなかったことにしちゃうのかと思いきや、そうじゃない。
卒業式のあと、小谷と山下はつれあって帰るわけですが、ここで小谷は自転車に乗りません。
初めて一緒に帰るときには先に自転車で行ってしまったのに、今回は小谷が待っていてくれます。
誰かに見つかってももうよくなった、と考えるのはちょっと早急に思えます。学校の敷地内かどうかはわかりませんし。
探してみたんですが、ふたりの自転車のシーンって一巻の初めのほうで一緒に帰るときくらいですね。
というか山下はなんで自転車じゃないんだろう。河原で別れ話するシーンでは二人とも乗ってるのに・・・あ!自転車の後ろに小谷を乗せたいだけか!
ともあれ、校門出てから、さっさと自転車に乗らないってことは、山下を待っていたってことですよね。
小谷のお皿の上に山下は乗っけられたんでしょうか。
変わる前の小谷でも、変わった後の小谷でも、山下と一緒に帰っていたような気がします。でも前の小谷だったら、また山下と「したい」と言いそう。
山下の「俺にしてほしいことある?」という問いに「卵買いに行くのつきあって」と答えた小谷。
この答えはイエスなのかノーなのか。
第一話で山下としかしてないこと、として「タイムサービス一緒に並んだ」と小谷は答えています。
で、また特売に並ぶように誘われる。
これは山下をお皿に乗せたと思ってもいいんじゃないか・・・?
と、思うけどさ、今まで小谷が付き合ってきた人って、一緒にスーパーに行ってくれるような人たちじゃないんですよね。
浮気してる金髪のろくでなしとか、第二日曜日にしか会えない家に木が生えてるおっちゃんとか、セックスの時が一番しゃべる八百屋のおいちゃんとか。
周りから見つかったら困るような人とか、特売の時間に一緒にいられない人たちばっかりなんですよ。
山下だったら見つかってもクラスメイト、で済むわけですし。
山下はちょうどよかっただけなのかもしれない。
でも、「したい」って言っちゃったらそれはぜんぜん変わっていない小谷になっちゃう。
かといって「山下とじゃなきゃやだ」って言ってるわけでもないんですよね。
ちょっとキープされてるだけかもしれませんし。
小谷と山下が抱き合ってから卒業式までの間には何も描かれていません。
小谷がいったんお皿をからっぽにすると言ったのは卒業式、引っ越しが決まってからです。
やっぱり想像せずにはいられないんですよね、小谷が他の人としているところを。
勉強を教えてくれる近所の大学生とか、八百屋さんとか、その他もろもろ。
描き方としては小谷は一生懸命勉強した、ということになってるけど、ほかの誰ともしなかったと描き方ではないんです。
行間を読んだらキリがないのはわかってるんですが・・・。
小谷って前日から特売に誘おうと考えてたのかな。卒業式の前日にみおに明日は特売だから遊びに行かずにスーパー行くっていってますし。
結局ハッピーエンドかバッドエンドかなんて結論は出ないんですけど、
山下、これから小谷と付き合って行けるのかな。
小谷目線から見たら、すこし変わって、まっとうになったとは言えるのかも知れないですけど、どうも小谷の本質は変わってないような気がするんですよね……
この違和感がどこに端を発するものなのか、ぜんぜん、わかんないんですが。
蛇足の蛇足
1巻の表紙について
性の支配者としての小谷
小谷がなぜ女王として君臨してられるかというと、セックスにかけるコストがめちゃめちゃ低いからです。
そしてかつ、そのコストに見合わない価値を小谷が有しているからです。
高校生という価値を、破格の値段で売り出しているからです。
小谷はそれをわかってるんですね?
って考えようとしてたんだけどうまくいかなかったのでとりあえず公開。